COLD HEADING MATERIAL ENGINEERING CLASSROOM · RX-CE-008
35CrMoとML35CrMoにはどのような違いがあるのでしょうか。規格や成分、冷間鍛造への適用性に至るまで、一通りわかりやすく解説します。 35CrMoとML35CrMoは成分がほぼ同じですが、規格体系や化学成分の管理基準、冷間鍛造への適性は異なります。本稿ではGB/T 3077、GB/T 6478、GB/T 28906-2025を比較し、材料選定においてなぜ材種番号だけに注目してはならないのかを解説します。
35CrMoとML35CrMoは成分がほぼ同じですが、規格体系や化学成分の管理基準、冷間鍛造への適性は異なります。本稿ではGB/T 3077、GB/T 6478、GB/T 28906-2025を比較し、材料選定においてなぜ材種番号だけに注目してはならないのかを解説します。
RX-CE-008 Engineering knowledge Creation Group Technical Team 2026-08-19
E-E-A-T
Technical trust signals Author Creation Group Technical Team Technical review Creation Group Materials Engineering Team Updated 2026-08-19 Referenced standards GB/T 3077 GB/T 6478 GB/T 28906
35CrMoとML35CrMoにはどのような違いがあるのでしょうか?その本当の差異は「ML」だけではありません。
高強度ボルトやスタッド、異形の冷間鍛造部品の材料選定において、多くのお客様から次のような質問が寄せられます。
「35CrMoとML35CrMoは成分が非常に似ているように見えますが、互いに代替可能でしょうか?」
この問いに対しては、ただ銘柄や化学成分だけを見ても答えは出ません。本当に重要なのは、材料の規格体系、供給形態、化学成分の管理範囲、そして冷間鍛造への適応性なのです。
一、35CrMoとML35CrMoの規格上の位置付けの違い
35CrMoは通常、GB/T 3077『合金構造鋼』の規格体系に基づいて解釈され、典型的なCr-Mo系調質鋼として扱われます。その特徴は高い強度と優れた焼入れ性にあり、適切な熱処理を施すことで良好な総合的な機械的特性を得ることができます。そのため、軸部品や歯車、接続部品、ファスナーなど、荷重を受ける部品に広く用いられています。
一方、ML35CrMoは異なります。「ML」という記号は、冷間鍛造や冷間圧造用途を強く意識したものです。この材料は主にGB/T 6478『冷間鍛造および冷間圧造用鋼』の規格体系に属し、さらに熱間圧延線材として購入する場合は、GB/T 28906-2025『冷間鍛造用鋼熱間圧延線材』の基準も合わせて考慮する必要があります。
つまり、ML35CrMoは単なる「35CrMoの別名」ではなく、冷間鍛造時の成形安定性をより重視した材料路線なのです。
二、三つの規格における化学成分の違い
化学成分は質量分率で表されており、単位は%です。
規格
銘柄
C
Si
Mn
P
S
Cr
Mo
GB/T 3077-2015『合金構造鋼』
35CrMo
0.32~0.40
0.17~0.37
0.40~0.70
0.80~1.10
0.15~0.25
GB/T 6478-2015『冷間鍛造および冷間圧造用鋼』
ML35CrMo
0.33~0.38
0.10~0.30
0.60~0.90
≤0.025
≤0.025
0.90~1.20
0.15~0.30
tr>
GB/T 28906-2025『冷間鍛造用鋼熱間圧延線材』
ML35CrMo
0.33~0.38
0.10~0.30
0.60~0.90
≤0.025
≤0.020
0.90~1.20
0.15~0.25
三、成分の違いが持つ実際の意味
1. C含有量の範囲の違いが、製造時の性能安定性に影響
GB/T 3077の35CrMoではC含有量は0.32~0.40%ですが、GB/T 6478およびGB/T 28906のML35CrMoでは0.33~0.38%となっています。
ML35CrMoの炭素含有範囲はより狭いため、冷間鍛造後の調質性能の一貫性が向上し、大量生産時の強度変動の抑制にも有利です。
2. Si含有量の管理の違いが、冷間加工時の成形性に影響
35CrMoのSi含有量は0.17~0.37%ですが、ML35CrMoでは0.10~0.30%です。
冷間鍛造材料は塑性や変形抵抗、割れリスクに対して特に敏感です。Siの範囲が低めで狭くなっていることは、冷間鍛造時の材料の塑性要件に適合しています。
3. Mn含有量の範囲の違いが、焼入れ性や強度とのバランスに影響
35CrMoのMn含有量は0.40~0.70%ですが、ML35CrMoでは0.60~0.90%です。
ML35CrMoのMn管理範囲がより高くなっているのは、材料の焼入れ性を高め、その後の調質性能との整合性をより良くするためです。
4. Cr含有量の範囲の違いが、調質後の安定性に影響
35CrMoのCr含有量は0.80~1.10%ですが、ML35CrMoでは0.90~1.20%です。
ML35CrMoのCr含有範囲が全体的にやや高いのは、高強度ファスナーにおいて調質後の強度と焼入れ性の安定性を確保するうえでプラスに働きます。
5. Mo含有量の要求が規格ごとに異なる
GB/T 3077の35CrMoではMo含有量は0.15~0.25%ですが、GB/T 6478のML35CrMoでは0.15~0.30%、GB/T 28906-2025のML35CrMoでは0.15~0.25%となっています。
このように、Moに対する管理範囲は規格によって必ずしも一致していません。材料を購入する際には銘柄だけでなく、適用される規格を明確に確認する必要があります。
6. S含有量の管理の違いが、冷間鍛造時の割れリスクに直結
GB/T 6478のML35CrMoではS含有量が0.025%以下に抑えられていますが、GB/T 28906-2025のML35CrMoでは0.020%以下となっています。
冷間鍛造用鋼の熱間圧延線材としては、Sの管理がより厳格であるほど、不純物混入やひび割れ、冷間鍛造時の割れリスクを低減できます。多工程の冷間鍛造や大変形を行う製品では、この点は特に重要です。
四、なぜ成分が似ていても単純に代替できないのか?
表面的には、35CrMoとML35CrMoはどちらもCr-Mo系材料に属しますが、それぞれの規格における管理重点は異なります。
35CrMoは合金構造鋼としての成分、強度、焼入れ性、そして熱処理後の総合的な性能に重点を置いています。一方、ML35CrMoは冷間鍛造材料としての表面品質や清浄度、組織状態、引き抜き性能、そして成形安定性に焦点を当てています。
これが、材料の成分が一見合格していても、冷間鍛造機にかけると頭部の割れやフランジの亀裂、金型の摩耗加速、さらには製造ロット間でのばらつきが生じる原因です。
問題は必ずしも銘柄にあるわけではなく、材料の供給状態や冷間鍛造への適応性に起因している可能性があります。
五、実際の購買時には以下の点を重点的に確認することをお勧めします
35CrMoとML35CrMoの選定にあたっては、次の点を特に確認するとよいでしょう。
項目
確認すべきポイント
顧客からの指示
35CrMoを求めているのか、それともML35CrMoを明示しているのか?
適用規格
GB/T 3077、GB/T 6478、それともGB/T 28906なのか?
供給形態
丸棒鋼か、鋼線か、あるいは熱間圧延線材か?
後続工程
引き抜きや球状化焼鈍、冷間鍛造、調質が必要か?
製品等級
8.8級、10.9級、それとも12.9級なのか?
成形リスク
製品の変形量は大きくないか?頭部やフランジ、異形状の部分はないか?
品質管理
脱炭、不純物混入、表面欠陥、製造ロット間の安定性に注意を払う必要があるか?
六、まとめ
35CrMoは合金構造鋼としての強度や熱処理性能を重視しますが、ML35CrMoは冷間鍛造材料としての成形安定性や大量生産時の信頼性を最重視します。
一般的な機械部品であれば35CrMoでも十分かもしれませんが、高強度ボルトやフランジボルト、異形の冷間鍛造部品、特に10.9級や12.9級のファスナーでは、ML35CrMoの方が冷間鍛造による量産ラインに適している場合が多いのです。
睿雄では、35CrMoやML35CrMo、その他の冷間鍛造用線材をご提案する際に、ただ銘柄だけを見るのではなく、お客様の設計図や製品仕様、変形量、性能等級、熱処理条件、購入形態、過去の生産経験などを総合的に考慮し、その材料が本当に冷間鍛造の量産に適しているかどうかを判断いたします。
ファスナーにとって大切なのは、材料がどれだけ似ているかではなく、どれだけ適合しているかなのです。
RELATED ARTICLES
Related articles
ABOUT CREATION GROUP
About Creation Group Creation Group supports cold heading wire, shaped wire and cold-drawn seamless shaped tube projects with material, process and failure-analysis engineering.